ナメクジ

オンラインによるセミナーを企画しました。
事前にこちらの登録フォームからお申し込みください。

日時:2020年5月11日(月)13:10~14:40
講師:森井 悠太 博士(京都大学白眉プロジェクト/京都大学理学研究科生物科学専攻)
演題:巨大外来ナメクジ vs. 市井の超人たち

アマチュア科学者によって行われる科学活動は市民科学と呼ばれ、近年その可能性が注目されつつある。市民科学は広範囲や長期間に渡る観察やモニタリングに大きな力を発揮することが知られており、特に生態学や天文学の分野において様々なプロジェクトが世界中で展開されている。外来種問題は中でも、市民科学の本領が最も発揮されるトピックのひとつと言える。私が現在携わっているマダラコウラナメクジの市民科学のプロジェクトも、市民の観察から始まった。私自身が最初に北海道札幌市の円山で、体長15 cmにもなる北欧原産の豹柄の外来ナメクジ、マダラコウラナメクジを発見したのが2014年7月であったのに対し、円山近隣の住民はその二年も前から新たな外来ナメクジの侵入に気づいていた。その旨を個人のブログに載せていた市民の方々とコンタクトを取り、後に「外来ナメクジに挑む市民と学者の会」と名付けた市民参加型プロジェクトのチームを結成したのが本研究の発端である。それ以降、現在に至るまでに本会が上げた成果は、学術論文や解説文4本、国内外における学会発表4件、一般向けの観察会や講演会8件、その他市民が主体となったナメクジの駆除活動、数々のメディアへの露出など、多岐に渡る。そのどれもが、市民による地道な観察や活動が基となっており、市民の潜在能力の高さを如実に示すものと考えている。本発表では、市民の力がプロの研究者を心の底から驚かせ、基礎科学を推し進める原動力となり得ることを私の体験した実例から示したい。

ジミな昆虫

金子修治・鈴木紀之・安田弘法 編著『博士の愛したジミな昆虫』が岩波ジュニア新書より発刊されました。目次は以下の通りです。昆虫生態学のさまざまなトピックについて学ぶことができます。はじめに
第1章 すみわけ、食べわけ、サバイバル!
・そっくりな虫どうしのジミな「ケンカ」―テントウムシのすみわけはなぜ起きる? 鈴木紀之
・逃げるが勝ち!のモンシロチョウ 大崎直太

第2章 共進化が生んだ「オンリー・ユー」
・ゾウムシの「槍」とツバキの「盾」の共進化 東樹宏和
・相思相愛? アリと植物のコミュニケーション 村瀬香

第3章 敵か、味方か? 関係はフクザツなのだ
・敵の敵は友? 寄生蜂と植物の関係 ―化学物質を介した相互作用 塩尻かおり
・敵を味方に! 敵の敵は味方? ―アリを恐れないアブラムシの天敵たち 金子修治

第4章 外来種がやって来た!
・ヒアリ、アルゼンチンアリはなぜはびこる? ―外来種の研究と生物多様性 辻和希
・虫を調べに南へ北へ―外来昆虫の新天地への適応 田中幸一

第5章 多様なムシの集まり、食うか食われるか!
・ただの虫のただならぬ働き ―農業害虫と天敵 桐谷圭治
・弱者だって、共存できる! ―「まさか!」と「ご縁」の研究生活 安田弘法

おわりに

卒業研究

研究室の卒論生5名の卒業研究発表会を行ないました。カイガラムシ・スズメバチ・テントウムシ・コナジラミ・野菊などの研究成果が発表されました。

環境 DNA

セミナーを企画しました。

日時:2020年2月6日(木)13:10~14:40
場所:高知大学 物部キャンパス 4-1-13教室
講師:土居 秀幸 博士(兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科)
演題:環境DNAによる水圏生態系の生物種構成・遺伝的多様性調査手法の開発

環境DNA(環境中に遊離しているDNA断片)を用いた生物分布、種構成、遺伝的多様性の研究が近年急速に進展している。例えば、1Lの水を採水するだけで、ある水域での生物種の分布や生物量、魚類の種組成などを明らかにすることができ、革新的な生物調査技術として注目されてきている。演者らのグループはこれまで、環境 DNAを用いて、湖沼、河川、汽水域などの陸水生態系における生物の種組成を推定するとともに、外来種や希少種を早期発見するメタバーコーディングの手法を確立してきた。さらに、環境 DNA から遺伝的多様性を推定し、有効集団サイズを含む集団遺伝学的解析を可能にする技術を開発しつつある。この技術の実践により、生物群集調査や生物多様性の評価をより低コストで広範囲・高頻度で行うことができるようになり、生態学での調査を劇的に変革させる可能性がある。本セミナーでは、これまでの海洋や陸水域で行われたCREST、推進費における環境DNA研究の成果について紹介する。さらに、今後の環境DNA,RNA研究の発展、先端オミクス技術を使った展望などについて紹介する。

タンポポ

セミナーを企画しました。

日時:2020年1月31日(金)16:30-18:00
場所:高知大学 物部キャンパス 暖地フィールドサイエンス教育研究センター 講義室講師:京極大助 博士(龍谷大学)
演題:交雑を避けるための適応としての棲み分けの理論的研究と、有性タンポポの雌雄間相互作用
要旨