ウミホタル

オンラインによるセミナーを企画しました。

日時:2020年6月16日(火)15:00~16:30
講師:別所-上原 学(名古屋大学 高等研究院YLC特任助教)
演題:盗タンパク質による生物発光 〜ウミホタルを食べて光るキンメモドキ〜

生物発光は収斂進化を研究するための格好の題材である。なぜなら、細菌から昆虫、魚類と様々な系統で独立に進化してきているからであり、また、発光反応の鍵となる酵素タンパク質のルシフェラーゼ遺伝子の進化過程を調べることでその発光形質の起源に迫ることができるからである。
魚類だけでも11目42科で発光魚が報告されており、少なくとも27回も発光は独立に進化したと考えられている。ある種は発光バクテリアと共生することで発光能力を進化させたが、他の多くの発光種がどのように発光形質を進化させたかについては不明であった。なぜなら、魚類のルシフェラーゼが解明された例がなかったからである。これらの発光魚はルシフェラーゼをどのように進化させたのだろうか。光らないタンパク質がどのような分子進化をへて光るようになるのか、それを明らかにすべく私は研究を開始した。ところが、キンメモドキから発見された「盗タンパク質」は全く別の進化のプロセスを提示した。なんと、キンメモドキは甲殻類のトガリウミホタルを食べることで、発光能力を「盗んで」いたのである。
 本セミナーでは、キンメモドキの研究から盗タンパク質が見つかった経緯や、生物発光が生態系の中に占める割合やその重要性などを紹介したい。

YouTubeチャンネル

YouTubeチャンネルを開設しました。オンライン授業のコンテンツや昆虫の行動、フィールドワークや実験の様子などを紹介していきます。どうぞご覧ください。

夢ナビ

夢ナビのサイトで研究を紹介していただきました(大阪で予定されていた夢ナビLIVEなどのイベントは中止になりました)。

クチキゴキブリ

オンラインによるセミナーを企画しました。

日時:2020年5月26日(火)15:00~16:30
講師:大崎 遥花(九州大学大学院 システム生命科学府/日本学術振興会特別研究員DC1)
演題:生物初・オスとメスが互いを食べ合うクチキゴキブリ

配偶ペアのオスとメスが互いの体の一部を食い合うゴキブリをご存知だろうか。
日本産クチキゴキブリ属の一部の種において、配偶個体同士が交尾の際に互いの翅を食い合う行動が知られている。クチキゴキブリは食材性で、両親が子の保護を行う亜社会性ゴキブリである。翅の食い合いは、交尾の前後で一方の性がもう一方の性に食われる「性的共食い」と、配偶時に相手にギフトを渡す「婚姻贈呈」の2通りの解釈ができる。しかしどちらであったとしても両性がお互いに食べるという例はこれまで報告がない。よってこの2つの現象でこれまで考察されてきた「一方の性が食う意義」では「両性が食い合う意義」を説明できない。さらにクチキゴキブリの翅は痕跡器官のような食われるためにある翅ではなく、飛翔可能な機能する翅である。したがって食われた個体はその後生涯を通じて飛ぶことができなくなってしまう。翅の食い合いはこれらの観点から、奇怪極まりない行動と言えよう。
本講演では、リュウキュウクチキゴキブリの成虫ペアの翅の食い合いを飼育条件下で撮影した映像を交えながら、翅の食い合いの意義を解明しようと奮闘してきた自身の研究について紹介する。とはいえ、先行研究はほぼ皆無であり、発表者のビデオ撮影まで過程の詳細を記録した研究もなかったような題材であるため、紹介というよりはむしろ翅の食い合いの意義について聴衆の皆様と議論したいと考えている。
発表後は、発表者が実際にゴキブリを飼育している様子もお見せできる予定です。ご興味のある方はそのまま楽しんでいただきたいと思います。

ナメクジ

オンラインによるセミナーを企画しました。
事前にこちらの登録フォームからお申し込みください。

日時:2020年5月11日(月)13:10~14:40
講師:森井 悠太 博士(京都大学白眉プロジェクト/京都大学理学研究科生物科学専攻)
演題:巨大外来ナメクジ vs. 市井の超人たち

アマチュア科学者によって行われる科学活動は市民科学と呼ばれ、近年その可能性が注目されつつある。市民科学は広範囲や長期間に渡る観察やモニタリングに大きな力を発揮することが知られており、特に生態学や天文学の分野において様々なプロジェクトが世界中で展開されている。外来種問題は中でも、市民科学の本領が最も発揮されるトピックのひとつと言える。私が現在携わっているマダラコウラナメクジの市民科学のプロジェクトも、市民の観察から始まった。私自身が最初に北海道札幌市の円山で、体長15 cmにもなる北欧原産の豹柄の外来ナメクジ、マダラコウラナメクジを発見したのが2014年7月であったのに対し、円山近隣の住民はその二年も前から新たな外来ナメクジの侵入に気づいていた。その旨を個人のブログに載せていた市民の方々とコンタクトを取り、後に「外来ナメクジに挑む市民と学者の会」と名付けた市民参加型プロジェクトのチームを結成したのが本研究の発端である。それ以降、現在に至るまでに本会が上げた成果は、学術論文や解説文4本、国内外における学会発表4件、一般向けの観察会や講演会8件、その他市民が主体となったナメクジの駆除活動、数々のメディアへの露出など、多岐に渡る。そのどれもが、市民による地道な観察や活動が基となっており、市民の潜在能力の高さを如実に示すものと考えている。本発表では、市民の力がプロの研究者を心の底から驚かせ、基礎科学を推し進める原動力となり得ることを私の体験した実例から示したい。